コラムColumn

2021.02.10

気になることば 第2回《関係人口》

佐那河内村の棚田の写真
©︎ノリプロ株式会社
このシリーズでは、私たちルーデンスが最近気になっていることばを取り上げて、 それにまつわるあれこれを、ゆるりと書かせていただきます。 第2回は「関係人口」です。

先日、「佐那のいっぷくカフェ」というオンラインイベントがあり、参加しました。
「佐那」は、徳島県佐那河内村(さなごうちそん)のこと。佐那河内村は、徳島県北東の山間に位置する県内唯一の村。自治体として制定されてからまもなく、なんと! 千年を迎えます。
総面積は42.28km²で、総人口 2,376人(男 1,155人・女 1,221人)、世帯数 946世帯。すだちやみかんなどの柑橘類やキウイ、イチゴの栽培が盛んです。また、棚田で作られた棚田米はその昔天皇に献上された非常に上質なお米として有名です。
徳島県佐那河内村の食材
オンラインイベントでは、事前に送られていた棚田米を炊いて、「いり飯」という郷土料理をつくります。「いり飯」のもとを製造している村民の方が作る様子を見ながら、自分も作って、一緒に味わい交流するという内容。
北海道、東京、神奈川、兵庫から参加した全員“初めまして”なメンバーでのオンライン交流。佐那河内村や徳島県出身者だけでなく、田舎暮らしを考えていて、たまたまこのイベントを見つけて参加したという方も。
私は、母の故郷が徳島で、親戚も徳島にいるので、徳島への関心はもともとあったのですが、実は、元一緒に働いていたスタッフが、今、佐那河内村で地域おこし協力隊の仕事をしているということがあり、徳島の中でも、この佐那河内村への関心が高まった、というわけです。今回のイベントで初めて知った「いり飯」。さっそくお取り寄せし、友人にも配ったりして。
出島表門橋の橋ふき
私は仕事がらみで、年に何度か長崎に行きます。とくに、長崎市内の「出島」界隈の活動が大好きで、DEJIMA BASEのメンバーの方と、毎回お会いし、彼らの活動に参加したりしています。
前回は、その出島にある表門橋の「はしふき」に初参加。文字通り橋の欄干を雑巾で拭いて、きれいにするのです。毎月2回行われているこの会。初めてお会いする他の参加者とも何だか妙な親近感が感じられ、ずっと前からの知り合いのごとく楽しい時間を過ごしました。最後にスタンプカード(10個でオリジナルグッズ、20個で「長崎出島商館員(1年間無料入場券)」プレゼント)もいただき、次はいつ行けるのかと楽しみにしています。私のiPhoneには「DEJIMA AGAIN」と書かれたステッカーが貼られています。
ソトコト表紙+「関係人口をつくる」
こんな私は、佐那河内村や長崎出島にとっての「関係人口」にカウントされる一人だろうな、とうっすら考えていました。「関係人口」ということばは雑誌「ソトコト」で見て強い印象を受けたことば。そこで、今回、改めて「関係人口」について調べてみたという次第です。

「関係人口」とは、移住した「定住人口」でもなく、観光に来た「交流人口」でもない、地域と多様に関わる人々を指す言葉です。 「ソトコト」でこの言葉が登場したのが、2018年2月。関係人口入門「観光以上、移住未満の第三の人口! 「関係人口」の大特集!というタイトルが印象的でした。その後、「ソトコト」では、続・関係人口入門「観光以上、移住未満」の地域との関わり方!(2019年3月)、関係人口とひらく地域の未来! 新・関係人口入門(2020年4月)と、毎年、その状況について、特集を組んでいます。
しかし、最初に「関係人口」の大事さをちゃんと説明されたのが、2017年10月に発行された「関係人口をつくる~定住でも交流でもないローカルイノベーション~」(木楽舎)という著書でないかといわれています。著者は田中輝美さんというローカルジャーナリストさん。ソトコトとの関係も深い方のようです。
本書の「はじめに」にこうあります。
地域を元気にするためには、その地域に住む「定住人口」を増やすか、短期的に訪れる「交流人口」を増やすか、ということが大事だとされてきました。最近は特に、定住人口を増やす競争が盛んになっています。
しかし、日本全体の人口が減る中で、地域間で定住人口の奪い合いをしても、疲弊するだけだと思いませんか?どこかが増えれば、どこかが減るのです。
たとえ住んでなくても、地域を元気にしたいと思って実際に地域を応援し、関わる仲間が増えれば、地域は元気になる。
そうです、こうやって地域に多様にかかわる人々=仲間こそが、関係人口です。例えば、定期的に来てくれたり、特産品を買ってくれる人。離れていても、地域のファンであり、ともに盛り上げてくれる。きっと、どの地域にもいますよね。
(以上、「関係人口をつくる」より抜粋)
あ、私だ(笑)。
この本では、「関係人口」が深堀され、事例を紹介しながら、その「つくり方」が書かれています。そして、前述した通り「ソトコト」は、その翌年から毎年「関係人口」を取り上げてきています。「関係人口」について、もっと知りたい方は、ぜひぜひ、この本や、「ソトコト」のバックナンバーを取り寄せてみてください(笑)
2020-2021。コロナによって、旅行が制限され、「交流人口」の減少が地域の経済に大きな影響を与えています。また一方で、働き方が大きく変わり、都会から地方への移住が増えていると聞きます。それは「定住人口」の増加につながっていくのかもしれません。しかし、まだまだ先行きが見えない世の中、その中で「関係人口」はいくらでも増加させることができそうな気がします。

行きたいなー、でもやめとくか。じゃ、お取り寄せで、zoomで、SNSで、ラインやメッセンジャー、clubhouseで。なんか、いろいろやれそうじゃん。そうやって、距離を超えて応援していきましょう。あちこちに仲間がいることが、自分自身を応援してくれますしね。
(文:森由香)
関係人口とは
地方圏は、人口減少・高齢化により、地域づくりの担い手不足という課題に直面していますが、地域によっては若者を中心に、変化を生み出す人材が地域に入り始めており、「関係人口」と呼ばれる地域外の人材が地域づくりの担い手となることが期待されています。 (関係人口とは|『関係人口』ポータルサイトより抜粋)

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