コラムColumn

2021.03.11

気になることば 第3回《減災》

ナヴォイ劇場の外観
このシリーズでは、私たちルーデンスが最近気になっていることばを取り上げて、 それにまつわるあれこれを、ゆるりと書いています。 第3回は「減災」です。

人それぞれに、災害を考える時期になったと思います。
上の写真は、ウズベキスタンの首都・タシケントに建つナヴォイ劇場です。 私の亡き親戚は、第二次世界大戦後に日本兵捕虜となり、約450名の仲間とこの建設に携わりました。土台までで頓挫していた建設作業に、鉄骨造りやレンガ積みの作業を緻密に行ったという記録があります。
そしてこの劇場は、1966年に起きたマグニチュード5.2の直下型地震※でも 崩れなかった建造物として現地の方に讃えられた、という逸話が残っています。 訪れることはまだ叶っていませんが、とても誇らしく僅かに自分と繋がっている、そんな不思議な感情を持っています。
さて、私自身は東日本大震災の経験から10年を経ました。 その後の各地での土砂災害やコロナ禍を思えば、
災害からは、どこへ行っても逃れることができない。 だから災害を憂うだけに終わらず、これだけのことがやれた、という記憶も残したい。
と思うようになりました。
それは東日本大震災以降に目にするようになった「減災」という言葉に近いようです。
同じく、私たちのイベント運営では、自然災害と人的な要素の両方でリスクを考えています。
当然ですが、危機的状況での連絡系統や意思決定ルートを 事前に書面で取りかわします。火気を伴う場合は風速の計測と、消火に必要な備品を確認します。
コロナ禍においては換気の設計も重要です。
事前にしっかり組み立てて「今とこれから」を形にする、それを大伯父に教えてもらいました。
そしてそれは私たちの仕事でもあり、「減災」になると思っています。
ナヴォイ劇場の客席
※注釈:
この地震による死者は10人、負傷者は1,000人。
2万8,000棟の建物が倒壊し、10万人が家屋を失ったそうです。
(文:真栄城舞)
参考:「日本兵捕虜はシルクロードにオペラハウスを建てた」(著作:嶌信彦)
写真提供:竹内眞佐子

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