コラムColumn

2021.01.19

気になることば 第1回《サーキュラーエコノミー》

エコアルフの蛍光イエローのジャケット。背中の内側に、大きく「BECAUSE THERE IS NO PLANET B」の文字がプリントされています。
このシリーズでは、私たちルーデンスが最近気になっていることばを取り上げて、
それにまつわるあれこれを、ゆるりと書かせていただきます。
第1回は「サーキュラーエコノミー」です。
最近、個人的にお気に入りのブランドがあります。ECOALF (エコアルフ)。すべてのアイテムを再生素材や環境負荷の低い天然素材のみで作っているスペインのブランドです。
《BECAUSE THERE IS NO PLANET B 第2の地球はないのだから》がキャッチフレーズで、製品にもプリントされています。写真の蛍光イエローのジャケットはペットボトルからできています。ペットボトル70本で1mの布になるそうです。ほかにも廃棄するはずの「コーヒー豆のかす」をジャケット素材に活用しているとか。脱臭効果もあるらしいのです。
日本では、三陽商会がECOALFとの合弁会社を設立し、さらに「UPCYCLING THE OCEANS JAPAN」というプロジェクトを発足して国内で海洋ゴミの回収・分別・再生をし、製品化していくとのこと。最近、テレビなどでも取り上げられているので、ご存知の方は多いかもしれませんね。
最近知った話から。「ジーンズは買わないでレンタルする」というのが新しいらしいのです。
Mud jeansというオランダの会社のシステムです。
入会金が約4000円、月額約950円でジーンズを借りることができます。1年間借りたら、そのジーンズをそのまま自分のモノにするか、新しいジーンズと交換するか、それとも返却するかを選ぶことができるという仕組み。返却されたジーンズは繊維にもどし、新しいジーンズが作られます。
アパレル業界での売れ残り商品の廃棄が大きな問題になっていて、フランスでは「売れ残り品廃棄禁止法」が施行されるなどの動きもありますし、今、若い人たちは、もちろん、メルカリとかで売ってしまうというのも一つの方法ですが。もう、ものを「捨てる」ということは考えないのがいいのかもしれません。

第9回産廃サミット会場の懸垂幕。「ただ捨てるだけですか?」という大きな文字と「廃棄物にしないプロジェクト展」などの情報が記載されています。
第9回産廃サミット会場の懸垂幕
昨年10月、前橋市駒形町での第9回産廃サミットを社長はじめ数名で視察し、私も参加しました。
「ただ捨てるだけですか?」のインパクトのあるコピー。主催した株式会社ナカダイは、スゴイ&ステキな廃棄物処理事業者さんなのです。循環型社会実現を目指し、「誰かが不要と判断した“モノ”について『使い方を創造し、捨て方をデザインする』」会社です。
コピーだけでなく、見るものすべてにインパクトがありました。廃棄処分にしかできないソーラーパネルをなんとテーブルの天板にして、かっこいい家具を作っていたり、製品のままではリサイクル率0%で埋め立てするしかないパソコンが、解体すれば99%リサイクルできたりとか。いただいたハンドブックには、このコラムを何本も書けるほど、すてきなキーワードが並んでいました。例えば、「モノの行方」とか「マテリアルの可能性」とか、、、。

天板がソーラーパネルになっている会議テーブル。テーブルの脚も廃棄されたものが活用されています。
ソーラーパネルを再利用したテーブル
そういえば、何年か前、新潟の友人に三条ものづくり学校を案内してもらいました。その時、たまたま「産地の祭典」というイベントが開催されていて、そこで印象に残ったブースに「モノ:ファクトリー」がありました。実はこの「モノ:ファクトリー」は、今回視察したナカダイさんから生まれた事業体だったのです。

2021年1月6日、オンラインとリアルなアクティビティによって「サーキュラーエコノミー」を学ぶ横浜発のプログラムCircular Economy Plus Schoolがスタートしました。3月24日までの3か月、12回の学習プログラムです。すでに2回実施されていて、私も受講生の一人。

主催は、ポストコロナにおける持続可能な横浜のまちづくりを考えるLOCAL GOOD YOKOHAMA 2.0実行委員会。実行委員会は、サーキュラーヨコハマ編集部、NPO法人横浜コミュニティデザイン・ラボ、一般社団法人YOKOHAMAリビングラボサポートオフィスの3団体により構成されています。
初回は、「横浜とサーキュラーエコノミー」ということで、講師として、関口昌幸さん(横浜市政策局共創推進課)、安居昭博さん(サーキュラーエコノミー研究家/Circular Initiative &Partners)が登場。さきほどのオランダのMud jeansの話は、安居さんから聞いたもの。

モデレーターの加藤佑さん(Circular Yokohama/IDEAS FOR GOOD 編集長)は横浜でのサーキュラーエコノミーを加速させたいと「Circular Yokohama」というプラットフォームを立ち上げた人です。なんと、ナカダイさんの視察で、偶然加藤さんに遭遇!
加藤さんとしては当然でしょうが、私がそこにいたとは逆に驚かれたかもですね。このあとの講座も様々な分野でのサーキュラーエコノミーを知ることができそうで、楽しみです。1回ごとに参加可能ですので、皆さまもぜひ。

さあ、そんないろいろな学びや気づきを得て、これを、どう活かしていくのか。個人としての行動変革も必要ですが、企業としてどう取り組むかは、企業としての責任ですね。サーキュラーエコノミーを理解して、物事を考えることが必要になってきます。

前述のナカダイさんのハンドブックにも記載されていますが、「イベントでの使用数=廃棄数」にならないようにしなくては。イベントの現場でも使用したものをそのまま廃棄する、という考え方はもう古くなってきています。しかし、企画段階から、どういう素材を使うか、使い捨てではなくリースや再利用可能な方法を考えておかないと、無駄を生む可能性はあります。また、それをお客様にもご理解いただく必要があります。費用が安い方で、、という基準で選択するのは違ってきますよね。。

コロナでリアルなイベントの現場は減ってますが、ルーデンスがまず取り組めることです。捨てるのではなく活かすにはどうすればいいか。そこに頭を働かせて行きたいですね。

サーキュラーエコノミー(循環型経済)とは、従来の「Take(資源を採掘して)」「Make(作って)」「Waste(捨てる)」というリニア(直線)型経済システムのなかで活用されることなく「廃棄」されていた製品や原材料などを新たな「資源」と捉え、廃棄物を出すことなく資源を循環させる経済の仕組みのことを指します。(https://circular.yokohama/what-is-circular-economy/より抜粋)
(文:森由香)

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