コラムColumn

2021.08.31

気になる本「アブドルのぼうけん」


このシリーズでは、私たちルーデンスが最近気になっているもの、ことを取り上げて、それにまつわるあれこれを、ゆるりと書かせていただきます。
今回は気になる本「アブドルのぼうけん」です。


東京2020オリンピック・パラリンピックで各国のアスリートが活躍する中、アフガニスタンの情勢に関するニュースを目にし、混乱することはありませんか? そんな中弊社でも、久々に海外と連携するプロジェクトが始まったこともあり、脳裏に浮かんだ本がありました。
私が小学生の時に両親に買ってもらった絵本
「アブドルのぼうけん-アフガニスタンの少年のものがたり」
(著作: 金田卓也 偕成社/1982年)です。
残念ながら廃版で、現在は一部中古がオンラインで購入できるのみですが
期せずして、字の読めない年齢の私の子どもがいたく気に入り、何度も読み聞かせている本です。
物語は、2人の兄弟が、まだ見ぬ砂漠の向こうを目指して 真夜中に家を飛び出すところから始まります。
ジリジリと焼けつく砂漠の中、やっとのことで手にした果物を 見ず知らずの人と分け合うシーンや、困り果てた兄弟に手を差し伸べてくれる人たちが描かれています。
実際に作者の金田さんがアフガニスタンを旅した際、たまたま乗り込んだバスの隣にいた少年が、 「サラーム(こんにちは)」、と声をかけてくれ、食べようとしていたパンをちぎり差し出してくれたといいます。
“イスラム教というと何か血なまぐさい野蛮なイメージしか持っていない大人も多い中、日常に他人への思いやりがあるアフガニスタンを描きたい”と
金田さんはあとがきに綴っています。
一方で、日本で小学生達とキャンプに行った時のことを
「昼食に大きなパンを出すと、それぞれがおいしいところをとろうと 奪い合って勝手に食べ始めてしまう。 彼らのリュックの中にはありあまるお菓子がはいっているというのに。」
とも話しています。
この本が制作されたのは1982年。
穏やかでないのはどこの国か?分からなくなるエピソードです。
さて。ちょっとプランナー的なアタマに戻って。 ふと先のエピソードの「パン」を「情報」や「仕事」や「お金」に置き換えてみるとどうか?と思いました。
誰に取っても大切なものを「シェアする」のと、「取り合いでそこには何も残らない」のと、 どちらが後の世の中を良くするのか?
なんだか身につまされ、遠い話じゃないんだな、という思いに至りました。
時として、5才向けの絵本が大人であるはずの自分に発想をくれたりします。
(文:真栄城舞)

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